山林は不動産や建物と同じ資産であり、山林整備は環境保全や森林資源の育成にもつながることから、税金や融資の面で様々なメリットが設けられています。
また、ウッドショックによる木材不足や外材価格の上昇、バイオマス発電の普及による木材需要の増加により、以前と比べて木材価格は上昇しています。
そのため、山林投資を目的として山林を購入する方が増えています。
山林所有には、主に以下のようなメリットがあります。
- 固定資産税・所得税のメリット
- 補助金・融資制度のメリット
- 山林維持管理のメリット
- 山林投資のメリット
- 送電線や電柱から得られる借地料収入のメリット
また、山林所有には自分の財産を育てるだけでなく、世の中に対する責務という面もあります。
山林所有のメリット
山林は資産としての価値や投資対象というだけでなく、日本の国土の2/3を占める山林や地球環境を守るという意義があります。
そのため、山林所有者には税金や補助金、融資制度などの面で様々なメリットが設けられています。
また、山林内に送電線や電柱があると、電力会社から敷地料収入が得られるというメリットもあります。
固定資産税・所得税のメリット
- 山林の評価額が低いので固定資産税は安く済み、保安林や小規模の山林は固定資産税が不要
- 山林の立木ごと譲渡や立木の伐採には、税額面で有利な山林所得が適用される
- 山林相続の際は、不動産や土地などの資産と比べて相続税が優遇される
補助金・融資制度のメリット
- 国や地方公共団体、林野庁から支援や補助が受けられる
- 日本政策金融公庫資金から林業向けの低利融資制度が受けられる
- 林業・木材産業経営向けの無利子貸付制度が使える
維持管理のメリット
- 植林や伐採などの森林整備事業は、補助金の範囲内で賄うことが可能
- 森林組合に管理を委託することができる
- 台風や大雨などの災害時に使える支援制度や補助金がある
送電線や電柱から得られる敷地料収入のメリット
- 山林内に送電線や電柱があると、敷地料収入が得られる
- 送電線の下にも「線下補償」があり、線下補償料が支払われる
- 送電線や電柱の周辺にある立木は、電力会社が伐採するたびに補償金が得られる
線下補償料とは
送電線の下や周辺にある立木は、ある一定の高さまで成長すると安全確保のため伐採することになっており、伐採した立木に対しては電力会社から線下補償料が支払われます。
電力会社はおよそ3年に1度、ヘリで送電線を巡回して立木をチェックしており、要請があれば伐採対象となります。線下補償料は育成にかかる経費で換算され、そのための公式が存在しています。
また、送電線は夏になると熱で伸びるので、季節に応じて電線の垂れ下がり分を考慮する必要があり、送電線の電圧によって対象となる立木も変わります。
山林の補助金
山林の維持管理を目的とする補助金は、森林整備事業に対して行われ、下刈り、間伐、枝打ち、林道整備などが対象になります。大抵の森林整備事業は補助金の範囲内で賄うことが可能です。
一例として、京都府のホームページに具体的な補助金の額が記載されています。
京都府 森林整備(造林補助)事業のご案内
また、山林を所有して造林育林を行う場合、最低限かかる費用として固定資産税と森林組合の組合費がありますが、大抵は年間数万円程度の出費で済みます。
一例として京都市北部で5haの山林を所有する場合、固定資産税は1万円程度、森林組合の組合費は2000円程度で、脱退時に返金されます。
森林組合は山の維持管理に関わるプロ集団です。間伐や下刈りといった施業委託をはじめ、補助金や融資制度の窓口業務も行っています。山林を所有する際は、必ず加入されることをお勧めします。
森林組合の組合費は地域によって異なるので、問い合わせてみるとよいでしょう。
一例として、京都府下には20の森林組合があります。
20森林組合の紹介 京都府森林組合連合会
山林を財産として考えるだけでなく、所有するメリットや楽しさを感じていただくため、山いちばが山林売買や管理を全力でサポートいたします。山林所有をもっと身近にすることが山いちばの役目です。
山林投資のメリット
2021年のウッドショックによる木材不足や外材価格の上昇、バイオマス発電の普及による木材需要の増加により、以前と比べて木材価格は上昇しています。
また、住友林業や王子製紙など企業による山林投資も増えており、CO2排出を相殺するカーボンクレジット取得や、国内外の森林運営に投資するためのファンドが設立されています。
山林内に送電線や電柱があると、借地料収入が得られることも知られるようになりました。
世間でも山林投資のメリットが少しずつ認知されつつあるようで、山林投資に関するニュースを目にする機会が増えてきました。
とはいえ、山林投資の基本はやはり育林です。中長期的な視野が必要になりますが、スギやヒノキを植林して、成長させることにより得られる利益には、投資と同様の価値があります。
山林は国土の大部分を占める貴重な資源ですが、数十年間放置すると木材の質が低下するため、財産的価値が下がります。定期的なプロの手入れにより、質の良い木材が育ち、生産量が増加します。
山林の価値を保つためには、間伐、枝打、下草刈りなどのメンテナンスが必要です。そのため、国や各自治体は林業に税金を投入し、私有林には補助金制度を設けて森林の育成と保全を行っています。
山いちばでは山林購入後の財産的価値が一目でわかるように、経年による木材蓄積量のシミュレーションを作成し、お客様に提供しております。
また、山林所有には自分の財産を育てるだけでなく、世の中に対する責務という面もあります。
山林に投資して適切に管理することは、山林の価値やメリットを高めるだけでなく、日本の環境保全や資源の育成、そして全世界、地球規模の環境を守るために重要なことなのです。
山林に投資するなら短期のメリットだけを追わず、自分の子孫に引き継ぐことも考えてみてください。
山林の活用事例
山林を所有すると、自分の山を好きなように使えるというメリットがあります。
山の楽しみ方は人それぞれで、山林経営や林業だけでなく、キャンプやレジャー目的で山林を購入される方もたくさんいます。以下は山林を購入された方の活用事例です。
- 自分だけのキャンプ場を作って、家族と焚き火やバーベキューを楽しむ
- 昔から憧れていた山小屋やログハウスを建てて、休日に仲間と過ごせる秘密基地を作る
- 果樹や人参、大根、じゃがいもなどを植えて農園を作り、野菜や果物の収穫を楽しむ
- 定年後に自伐型林業を始めて、立木の伐採や植林、間伐などの手入れを行う
- 木質バイオマス発電の燃料となる木材を確保する
- 愛犬のために山林を開拓して、自由に走れるドッグランを作る
- 研究目的の山林を購入して、昆虫や動物の生態調査を行う
- 山林の高低差や斜面を生かして、サバイバルゲームのフィールドを作る
山林の活用事例や楽しみ方の一例として、自ら山林を開拓して自然農園を始めた方を紹介します
https://yamaichiba.com/mountain-case-study-01/
山林所有のデメリット
山林所有にはメリットだけでなく、以下のようなデメリットや問題点もあります。
- 収益性が低く、不動産としての価値がほとんどない
- 林業は短期で利益が得られず、中長期的な視野が必要
- 立木の維持管理やメンテナンスが必要
- 倒木や土砂崩れなどの自然災害リスクがある
- 山林では廃棄物やごみなどの不法投棄が多い
- 建物の建築や、電気水道などのインフラに制約がある
基本的に山林の土地は非常に安く、賃貸などの収益が得られないため、不動産としての価値はほとんどありません。山林の固定資産税が安い理由は、土地の価値が低いということです。
昔の山持ちといえば、それなりの資産家だという認識がありましたが、木材価格の下落とともに山林の価値が下がり続けたため、山林相続の際に問題となり「負動産」と呼ばれることもあります。
造林や育林も中長期的な視野が必要で、利益を出すためには数十年単位の時間がかかります。また、スギやヒノキの育林は、枝打ちや間伐などのメンテナンスが必要です。
山林には台風や大雨などによる土砂崩れや倒木などの自然災害リスクがあり、山林内では家電や廃タイヤ、産業廃棄物などの不法投棄も多く発生しています。
建物の建築や電気水道などのインフラにも制約があり、市街化調整区域や保安林に指定されている山林では建築ができません。山小屋やログハウスを建てる場合は注意が必要です。
山林を所有するなら、メリットだけでなくデメリットも頭に入れておいてください。
日本人は世界的な「森林資源」保有者
日本の国土面積はおよそ3,779万ヘクタール、それに対して日本の森林面積はおよそ2,510万ヘクタールあり、日本国土の約3分の2は森林が占めています。
つまり、わたしたちの暮らしている日本国土の約66%は森林です。国土面積に占める森林の割合を「森林率」と言い、日本は世界的にみても先進国のなかで非常に森林率の高い国なのです。
また、日本国土に占める森林のうち、その58%は個人や企業が所有する「私有林」です。
国土の66%を森林が占め、さらにその約6割が個人や企業の所有する「私有林」ということになります。固有資源が少ないと言われる日本ですが、日本人は世界的な「森林資源」保有者なのかもしれませんね。
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