保安林(ほあんりん)とは、水源かん養機能の維持や、土砂災害防止のために指定される山林のことで、農林水産大臣または都道府県知事によって指定されます。

保安林の管理は所有者が行うこととされ、保安林に指定された山林では「指定施業要件」に定められた行為制限(規制)が発生するため、無許可で立木伐採や各種作業を行うと、森林法に基づく処罰の対象となります。

また、その制限の代償として、保安林に指定された山林は固定資産税や不動産所得税の免除や、相続税・贈与税の評価控除、補助金支給、立木の損失補填などのメリットが受けられます。

保安林は「水源かん養保安林」や「土砂流出防備保安林」、「防風保安林」など、その目的や機能によって17種類が定められ、日本の国土面積の約3割、国内の森林面積の約5割は保安林です。

森林所有者は自ら所有する山林を、保安林に指定するよう申請することができます。その山林に公益性が認められ、保全が必要と判断されると、保安林に指定されます。

保安林の行為制限(規制)について

保安林に指定された森林では「指定施業要件」に定められた行為制限に基づく「立木の伐採制限」「土地形質の変更制限」「伐採後の植栽義務」が発生し、違反した場合は森林法に基づく処罰の対象となります。

● 立木の伐採制限
保安林で立木を伐採する場合は、都道府県知事の許可または届出が必要です。伐採の方法や伐採限度などは、保安林ごとに指定施業要件として定められ、その範囲内であれば伐採できます。

立木をすべて伐採する皆伐は許可が必要、一部だけ伐採する択伐・間伐も、許可または届出が必要です。また、標準伐期齢に満たない立木は、伐採することができません。

● 土地形質の変更制限
保安林では、その機能を維持するために土地形質の変更に制限が設けられており、土地の開墾や整地、掘削などの形状変更、家畜の放牧、立木の損傷などを行う場合は許可を得る必要があります。

● 伐採後の植栽義務
指定施業要件に「植栽」が指定されている保安林では、伐採後の跡地に植栽する義務があります。

保安林の優遇措置

保安林に指定された山林では、伐採制限や植栽義務など、様々な規制が発生します。その代償として、補助金の支給や税金免除などの優遇措置があります。

保安林では、固定資産税、不動産取得税、特別土地保有税は課税されません。また、相続税や贈与税も評価の際に3割~8割が控除され、造林補助金や公庫融資については優遇措置が受けられます。

また、伐採禁止などの厳しい伐採制限が設けられている保安林には、立木資産の損失補填があり、災害防止目的の重要な保安林では、全額公費負担の治山事業が行われます。

保安林の種類

保安林はその目的や機能によって、以下の17種類が定められています。いずれも水源のかん養や災害防止、環境維持のために重要な役割を果たしています。

  • 水源かん養保安林
  • 土砂流出防備保安林
  • 土砂崩壊防備保安林
  • 飛砂防備保安林
  • 防風保安林
  • 水害防備保安林
  • 潮害防備保安林
  • 干害防備保安林
  • 防雪保安林
  • 防霧保安林
  • なだれ防止保安林
  • 落石防止保安林
  • 防火保安林
  • 魚つき保安林
  • 航行目標保安林
  • 保健保安林
  • 風致保安林

保安林制度については林野庁ホームページをご覧ください 保安林制度:林野庁